R-TYPE TACTICS

『R-TYPE TACTICS』：宇宙規模の戦略シミュレーション

2007年9月20日、アイレムソフトウェアエンジニアリングからPlayStation Portable向けに発売された『R-TYPE TACTICS』は、人気シューティングゲームシリーズ『R-TYPE』の20周年記念作品として、新たな地平を切り開いた戦略シミュレーションゲームです。シリーズ最終作である『R-TYPE FINAL』で描かれた数々のR戦闘機が登場し、宇宙や異星、そして異次元空間を舞台に、グロテスクなバイド帝国との壮絶な戦いを繰り広げます。

店頭チラシでは「世界観を別解釈で再構築」と謳われ、シリーズ本編とは異なるパラレルワールド的な設定が示唆されています。北米では『R-TYPE COMMAND』のタイトルで、アトラスの米国法人が販売を担当しました。地域によって年表設定に若干の違いが見られるのも興味深い点です。

本作は、後に発売される『R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-』へと続くシリーズの礎を築いた作品と言えるでしょう。アイレムがイベントで配布した冊子『アイレムぶるるん2007最新版』では本作の記事が4ページに渡って掲載され、また、『アイレムぶるるん2008』では外伝小説が発表され、その登場人物が『II』で重要な役割を担うなど、シリーズの世界観を深く掘り下げる試みがなされています。

ストーリー：人類とバイドの銀河戦争

舞台は遥か未来の地球。人類は銀河系ペルセウス腕の中央付近で、謎の生命体群「バイド」の増殖と地球への進攻を察知します。地球軍はこれに対抗すべく、次元戦闘機「Rシリーズ」を開発。高い戦闘力と機動性を誇るRシリーズは局地的な戦闘では大きな成果をあげますが、バイドの圧倒的な物量の前に苦戦を強いられ、太陽系外縁部まで侵攻を許してしまいます。

地球ではバイドへの抗戦と地球からの脱出という意見が対立する中、ある司令官に指令が下されます。それは、木星軌道上に迫るバイドの大群を、残された戦力で撃退せよという、絶望的な命令でした。

ゲームの特徴：シューティングと戦略の融合

『R-TYPE TACTICS』は、従来の戦略シミュレーションゲーム（SLG）に『R-TYPE』シリーズの特徴的な要素を融合させた、独自のゲーム性を持っています。ヘクス（六角形）マップ、ユニット小隊、索敵、ZOC（ゾーン・オブ・コントロール）といったSLGの基本的な概念に加え、「波動砲」や「フォース」といった『R-TYPE』シリーズの象徴的なシステムがゲームシステムに組み込まれています。

ユニット選択画面は『R-TYPE』シリーズを彷彿とさせるサイドビューを採用。横スクロールシューティングゲームで見られるような地形がそのまま活用されているのも、本作の特徴と言えるでしょう。戦闘シーンは3Dポリゴンで表現され、シリーズらしい迫力の戦闘が再現されています。フォースは独立したユニットとして扱われ、R戦闘機と合体して能力を強化することもできますが、ダメージを受けすぎると破壊されるというリスクも存在します。

単体ユニットはHP制を採用しており、ダメージを受けると能力が低下。敵の索敵を回避する亜空間移動や、それを無効化する亜空間バスターといった特殊能力や、波動砲のようなチャージ式兵器も存在します。さらに、通信対戦による2人プレイにも対応。バイド側のユニットも操作可能で、ストーリーモードでもバイド視点のシナリオが展開されます。このシナリオでは、小隊名に隠されたアナグラムが物語の鍵となる仕掛けが用意されています。

ユニット：個性豊かなR戦闘機とバイド軍

ゲームには100種類以上のユニットが登場。ミッションで獲得した「トレジャー」と「資源」を使って、新たなユニットを開発できます。R戦闘機の型番は『R-TYPE FINAL』以前とは異なり、波動砲搭載、フォース搭載といった機能を表す表記に変更されています（例：Rwf-9A）。

資源は、シリーズでお馴染みのフォース強化アイテム「クリスタル」が、本作独自の名称と設定で登場。ソルモナジウム（青）、エーテリウム（緑）、バイドルゲン（赤）の3種類が存在し、地球軍ユニットやフォースの開発、強化に用いられます。

地球軍ユニットは索敵能力に優れ、R戦闘機は様々なタイプが存在し、性能や装備が異なります。一方、バイド軍ユニットは多くの種類が自己修復機能を備えています。

地球軍ユニット：多様なR戦闘機と支援ユニット

ここでは、多様な地球軍ユニットの一部を紹介します。

R戦闘機: アロー・ヘッド（Rwf-9A）、アロー・ヘッドbk（Rwf-9Abk）、ウォー・ヘッド（Rwf-9Ac）、ストライダー（R-9B1）、ミッドナイト・アイ（R-E1）、シューティング・スター（Rwf-9D）、グレース・ノート（Rwf-9DH）、アルバトロス（RXwf-10）、プリンシパリティーズ（Rwf-9Sk1）、ケルベロス（Rwf-13A）、カロン（Rwf-13B）、フューチャー・ワールド（Rw-11A）、トロピカル・エンジェル（R-11S）など。
フォース: スタンダード・フォース（F-A）、スタンダード・フォースC（F-Ac）、ディフェンシヴ・フォース（F-D）、テンタクル・フォース（F-X）、ファイヤ・フォース（F-SkFr）、アンカー・フォース（F-ANC）、アンカー・フォース改（F-R13B）、スタンダード・フォース改（F-A2）、ディフェンシヴ・フォース改（F-D2）など。
支援機: POWアーマー（TP-02C）、フロッグマン（TP-02M）、工作機（Rr2o-3）、工作機2号機（Rr2o-3-2）など。
艦艇: ヨルムンガンド級（UFCS-05）、ニーズヘッグ級（UFDD-02）、ヘイムダル級（UFBS-010）、ヴァナルガンド級（UFHC-007）、ガルム級（UFHC-008）、エーギル級（UFWS-004）、テュール級（UFBS-011）、ヨトゥンヘイム級（UFBS-AE1）、ムスペルヘイム級（UFBS-AE2）、ニヴルヘイム級（UFBS-AE3）など。
その他: ウートガルザ・ロキ（UFXSS-01）、アイギス（UFX-Gpsys）など。

バイド軍ユニット：生命体とメカの融合

バイド軍ユニットは、生命体とメカが融合した個性的なユニットが多く存在します。

生命機体: アンフィビアン（Bwf-1c）、バイド・システムα（Bwf-1Dα）など。
フォース: ビースト・フォース（BF-BC）、バイド・フォース（BF-BD）など。
メカ: キャンサー（B-cnc）、タブロック（Bh-Tb）、ゲインズ（Bhw-Gns1）など。
支援機: 腐れPOWアーマー（BxTP）、腐れ工作機（BXRr2o）、腐れ工作機2（BXRr2o-2）など。
艦艇: ノーザリー（BCS-Mth）、ガスダーネッド（B-GstNd）、ボルド（B-Bld）、コンバイラ（B-BS-Cnb）、ベルメイト本体（B-Blmt）、グリッドロック・レッド（B-GrR）、グリッドロック・ブルー（B-GrB）、ファインモーション（B-Fnmt）など。

ボスユニット：シリーズお馴染みの強敵たち

本作にも、シリーズお馴染みの巨大なボスユニットが登場します。ドプケラドプス、ゴマンダー、インスルー、ドップ、ニュートといった『R-TYPE』シリーズのボスに加え、バイドを生み出す謎の生命体「漆黒の瞳孔」や、高度な技術で作られた「巨大推進装置」といった新たな脅威も待ち受けています。

体験版：シリーズの魅力を凝縮した3ステージ

2007年7月20日発売のファミ通PSP Vol.8には、本作の体験版が収録されたUMDが付属していました。チュートリアルやプレストーリーに加え、無線LANを使った2人対戦も可能。体験版では、「ミッションA-1 成層圏での演習」「ミッションA-2 成層圏での実戦」「ミッションB 悪魔の巣窟」の3ステージがプレイ可能です。

『R-TYPE TACTICS』は、シリーズファンのみならず、戦略シミュレーションゲーム好きにもおすすめの一作です。独特の世界観と、シューティングゲームの要素を取り込んだ戦略性、そして個性豊かなユニットの数々が、プレイヤーを宇宙規模の戦いの渦へと引き込みます。

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